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キングスマン:ゴールデンサークル

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年始休暇を明けると共に始まった名古屋での生活にも慣れ始め、ようやく最初の週を終えた私はプレミアムフライデーだと自分に言い訳しながら帰路の途中にある映画館のレイトショーの座席を押さえていた。 ミッドランドスクエアシネマの豊富な上映作品一覧をザッピングしながらも、私のなかで既に結論は決まっていた。今夜はキングスマン:ゴールデン・サークルだ。 前作のキングスマンは見ていなかったが、ちょうどオリエント急行殺人事件を見たときの予告編で出会い、それからずっと煩っていた。 その時感じたケレン味あふれる匂いはこの疲れた心と身体に効く特効薬だと直感が告げていた。

いつも通り少し早めに到着してまだ空席ばかりの座席にどっかりと座り込む。座席はプレミアムシートだ。 なにせ今の私には職がある。それに今日はプレミアムフライデーだ、選択の余地などない。 見慣れた短いプロモーションが終わると品のいいテーラー、いかにもな甘いマスクの坊やはオックスフォードを出たばかりというような風貌でよく馴染む。 待たせる事なくカーチェイスになだれ込むと、まるでコミックのひとコマのようなクロマキーにわざとらしいフレア。リアリティなんて笑い飛ばすエンターテイメントを予感させる。 物語が進むと銀幕狭しと伊達男が戦い舞う絢爛豪華な様相で、陰気なジェームズとはかけ離れた演出のなか、しっかり抑えられたお約束が煌めく。 伝統的なイギリス・スパイ・映画は守破離の最終段階で今まさにこの映画とともに飛び立つのである。